図説 日本の財政 平成24年度版

西田 安範編著
2012年8月31日 発売
定価 2,640円(税込)
ISBN:9784492031902 / サイズ:サイズ:A5判/ページ数:544

平成24年度予算を図解!




社会保障・税一体改革など、予算と税制の全体像、財政の仕組み、財政の理論、主要諸国の財政のあらまし、欧州財政協調の現状にも言及した、コンパクトな日本財政読本。24年度版では、欧州財政危機をめぐる議論を「欧州における財政協調」として新しく章立てするなど、頁数を大幅に増やし、これまでとは違った「財政白書」となっている。「南米と戦前ドイツにおけるハイパーインフレーション」「スウェーデンの経済成長と財政再建」など、日本の今後を考えるうえでのヒントになるコラムも充実。



はしがき




本書は、財政の仕組みや現状について、図表を用いながら、できるだけ具体的に分かりやすく、また幅広く解説した本として、昭和30(1955)年にはじめて刊行されて以来、多くの社会人や学生の方々に読み継がれてきました。ここに、その平成24(2012)年度版をお届けします。



このところの我が国の経済・財政を顧みると、2008 年秋のリーマン・ショック、さらに昨年3月の東日本大震災など、我が国の経済や社会に大きな変動をもたらす事態が発生し、こうした事態への対応において、財政はその役割を果たしてきました。一方で、我が国の財政はかつてない極めて厳しい状況に立ち至っており、そうした状況を背景に、政府の歳出のなかで最も大きな割合を占め、かつ増加も著しい「社会保障」と、それを安定的に支えるための「税」についての「一体改革」の議論がなされ、関連法案が国会で審議されているところです(執筆時時点)。



財政の問題は、日本のみならず海外でも大きな問題となっています。ギリシャの債務危機に端を発したヨーロッパにおける政府債務の問題は、ギリシャのみならず、財政状態に懸念を持たれた他の国々についても国債の金利が急上昇するなどの波及を見せ、金融市場や経済・社会の混乱を招いて、世界経済の最大の懸念材料となっています。



こうした状況を踏まえつつ、平成24(2012)年度版の編集にあたっては、これまで同様豊富な図表によるわかりやすい説明を心がけました。また、「コラム」を活用して、国内外を通じた最近の話題を含めて、財政に関する事項やさまざまな経済政策について、編著者なりの視点からの解説を試みています。



平成24(2012)年度版では、昨年までと若干構成を変更し、まず、第1)部第1章において「日本の財政の現状」について記述しました。まずは、この部分に目を通され、我が国の財政の現状や問題点について、概括的な把握をしていただければと思います。



そのうえで、後は、ご興味に応じた読み方をしていただければよいと思います。「社会保障と税の一体改革」について知りたい方は、第1)部第1章の第3節に加え第2)部の第4章第3節及び第17章第1節を読まれるとよいでしょう。また、平成24年度予算の概要を知りたい方は、第2)部第2章から第13章などを読まれるとよいでしょう。その他にも、本書では、財政の理論や歴史、海外の状況のほか、財政投融資、国庫金制度、税制改正、金融政策などについても解説しています。特に、本年は、第4)部第6章で、最近のヨーロッパの状況について、新たに章を設け記述しました。読者のみなさまの必要と時間にあわせた読み方をしていただければ幸いです。



本書を手にとられた多くの方は、おそらく「日本の財政状況は極めて厳しい」ということは耳にされたことがあるでしょう。一方で、国の予算や財政問題というと、何か難しいもの、自分の生活と縁遠いものと感じているかもしれませんが、決してそんなことはありません。



財政とは、国民が税金という形で負担したお金を原資に、国が国民に対して種々のサービスを提供していく活動のことです。「打ち出の小槌」のようなものはありません。原資がふんだんにあれば提供できるサービスも充実しますが、原資が乏しければ提供できるサービスは限られます。苦しいからといって、安易に借金をして、それがどんどん膨らんでいってしまえば、将来にわたって借金の返済に追われることになります。自分が受けたサービスのための借金を自分の子や孫の世代に負わせることにもなりかねません。国の財政をめぐる議論の本質は、意外にシンプルなものです。



財政は縁遠いものではなく、それによる受益も、それを支える負担も、国民全員に関係するものです。また、財政が悪化することによる影響も全て国民に及んでいくものです。どの程度の原資でどのようなサービスを享受するのか、また、その原資を国民全体としてどのように担っていくのか、と考えることは、まさに国民一人一人の今と将来の生活に直結するものであり、国民一人一人が真剣に向き合うべき切実な課題と言えるでしょう。



本書が、この切実な課題に向き合うための一助となることを、筆者一同心から願っております。


    平成24年8月         編 著 者 

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概要

社会保障・税一体改革など、予算と税制の全体像、財政の仕組み、財政の理論、主要諸国の財政のあらまし、欧州財政協調の現状にも言及した、コンパクトな日本財政読本。

目次


第1部 財政についての基本問題
 第1章  日本の財政の現状
 第2章   財政の役割と機能
 第3章  財政をめぐる理論
第2部 予算制度と関連する施策
 第1章  総説 
 第2章   平成24年度予算編成の背景と概要
 第3章  平成24年度復興特別会計予算
 第4章  社会保障
 第5章   文教及び化学技術の振興
 第6章  社会資本の整備
 第7章  経済協力
 第8章  防衛力の整備
 第9章  中小企業施策の推進
 第10章 農林水産業の振興
 第11章 エネルギー・地球温暖化対策の推進
 第12章 国債費
 第13章 地方財政
 第14章  予算制度改革 
 第15章 財政投融資
 第16章 国庫金制度
 第17章 税制
 第18章 金融政策
第3部 我が国財政のあゆみ
第4部 諸外国の財政
 第1章 主要国の予算制度の国際比較
 第2章 アメリカ
 第3章 イギリス
 第4章 ドイツ
 第5章 フランス
 第6章 欧州における財政協調
 第7章 中国

著者プロフィール

西田安範
にしだ・やすのり

昭和59年大蔵省(現・財務省)入省。財務省大臣官房総合政策課長(執筆時)。