だれが修復腎移植をつぶすのか

高橋 幸春著
2015年6月19日 発売
定価 1,650円(税込)
ISBN:9784492045732 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:224

1000例を超える手術実績、海外からも高く評価される修復腎移植(下記※参照)の先駆的な技術を持ちながら、不当なバッシングにさらされ保険医登録抹消寸前まで追い込まれた万波誠医師ら「瀬戸内グループ」の移植医療の真実の姿を、10年にわたる取材で詳細に明かす。

万波つぶしに狂奔し移植の機会を奪ったとして患者団に訴えられた日本移植学会幹部への取材も収録。 現在31万人を超え、年々1万人増加している透析患者(1人年間500万円の公的負担)による財政圧迫の問題、「2兆円市場」となった人工透析にからむ利権問題にもメスを入れる。真に患者のQOL(生活の質)を優先する医療として世界的に評価される修復腎移植を世に問うとともに、日本の医学界のモラルと体質を厳しく追及する。

(※)「修復腎移植」とは、ドナーから摘出されたガンなどの病気腎を修復し、レシピエントに移植するもの。「病気腎移植」と呼ばれることもある。宇和島徳洲会病院の万波誠医師ら「瀬戸内グループ」が先駆的に取り組み、実績を上げてきた。だが、日本移植学会が猛烈に反対し、厚労省も禁止の通達を出すに至った。世界的には安全性が確認されつつあり、腎臓移植の新たな潮流となっている。

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概要

透析患者を救う腎臓移植「第三の道」を閉ざす学会と厚労省。
日経連載小説『禁断のスカルペル』のモデルになった医療界のタブーに迫る

目次

プロローグ 万波医師はなぜおとしめられたのか
第1章 宇和島臓器売買事件――
万波医師にかぶせられた“いわれなき汚名”
第2章 調査委員会――一方的な結論で修復腎移植を攻撃
第3章 生きる権利――無視された患者たちの声
第4章 立ち上がる患者たち――日本移植学会幹部への損害賠償訴訟
第5章 世界に広がる修復腎移植――明らかになった日本移植学会の無知
第6章 執拗な修復腎移植つぶし――背後に見える年間2兆円の透析利権
第7章 日本移植学会の暴走――次々と根拠を失う修復腎批判
第8章 拡大する移植学会の矛盾――「救える命」をなぜ救わないのか
第9章 医療権力の大きな罪――患者に「座して死を待て」というのか
エピローグ いまこそ問われる“医師の志”

著者プロフィール

高橋 幸春  【著】
たかはし ゆきはる

1975年に早稲田大学第一文学部を卒業後、ブラジルへ移住。邦字紙勤務を経て1978年に帰国し、以後フリーライターとして活動。高橋幸春名でノンフィクションを執筆。
1991年に『蒼氓の大地』(講談社)で第13回講談社ノンフィクション賞受賞。主な著書に『悔恨の島ミンダナオ』(講談社)、『絶望の移民史』(毎日新聞社)、『日系人の歴史を知ろう』(岩波書店)など。2000年に初の小説『天皇の船』を麻野涼のペンネームで上梓。以降、小説は同ペンネームで刊行し、2003年、『国籍不明(上・下)』(講談社)が第6回大藪春彦賞候補。  
『文藝春秋』2013年8月号で万波誠医師の手記「私はなぜ「臓器売買・悪徳医師」にされたのか」を取材・構成。大反響を呼び、同誌の翌9月号では「日本移植学会よ、驕るなかれ」(瀬戸内グループから学会への公開質問状)を発表した。