大人の道徳

西洋近代思想を問い直す

古川 雄嗣著
2018年7月27日 発売
定価 1,760円(税込)
ISBN:9784492223833 / サイズ:四六/並/344

2018年4月、小中学校で「道徳」が「特別の教科」化され、児童生徒の評価対象に加えられることになった。
しかし、そもそも日本人にとって「道徳」とは何だろうか? この問いに答えられる親や教師はいるのか。

なぜ「学校」に通わなければならないのか?
なぜ「合理的」でなければならないのか?
なぜ「やりたいことをやりたいように」やってはダメなのか?
なぜ「ならぬことはならぬ」のか?
なぜ「市民は国家のために死ななければならない」のか?
なぜ「誰もが市民でもあり、奴隷でもある」のか?
なぜ「学校は社会に対して閉じられるべき」なのか?
そもそも「人格」「自由」「民主主義」「国家」とは何だろうか?

こうした基本的な問いをマクラに、ポップなイラストを織り交ぜながら、まず道徳の前提となる「近代」とは何かというごく基本的な意味から説き起こしていく。

ベースとするのはデカルト、カントの人間観と道徳観、ホッブズ、ロック、ルソーの国家観と市民観。
さらに中江兆民やレジス・ドゥブレなど、共和主義やリベラリズムの伝統もふまえながら近代的人間としての「道徳」と「市民」および「国民」としての「道徳」の原理を解説していく。

大人たちが最低限知っておくべき前提から問い直す一冊。

【「はじめに」より】
ぜひとも本書を一読してみてほしいのは、残念ながらこれまでの学校教育のなかで、まともに「道徳」を教わる機会がなかった人、つまり、現代の日本社会の、ほとんどすべての「社会人」の皆さんです。
本書では、本来「道徳」で教えなければ/学ばなければならない、近代の人間と社会と国家の論理を、できるだけわかりやすく解説することにしました。
デカルト、カント、ルソーなどの西洋近代思想をもとに、誰もが、もう一度、ゼロから「道徳」を学び直せるように工夫しています。

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概要

2018年4月、小中学校で道徳が「特別の教科」に。でも、そもそも「道徳」とは何だろうか。最低限知っておくべき前提から問い直す

目次

第1章 なぜ「学校」に通わなければならないのか―「近代」の意味から考える「学校」の存在理由

第2章 なぜ「合理的」でなければならないのか―啓蒙主義から考える「科学」と「道徳」

第3章 なぜ「やりたいことをやりたいようにやる」のはダメなのか―デカルトから考える「自由」と「道徳」

第4章 なぜ「ならぬことはならぬ」のか―カントから考える「人格の完成」

第5章 なぜ「市民は国家のために死ななければならない」のか―社会契約論から考える「国家」と「市民」

第6章 なぜ「誰もが市民でもあり、奴隷でもある」のか―ルソーから考える「市民」の徳

第7章 なぜ「学校は社会に対して閉じられるべき」なのか―共和主義から考える「士民」の徳

著者プロフィール

古川 雄嗣  【著】
ふるかわ ゆうじ

1978年三重県生まれ。京都大学文学部および教育学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。現在、北海道教育大学旭川校准教授。専門は、教育哲学、道徳教育。著書に『偶然と運命――九鬼周造の倫理学』(ナカニシヤ出版、2015年)、『看護学生と考える教育学――「生きる意味」の援助のために』(ナカニシヤ出版、2016年)、共編に『反「大学改革」論――若手からの問題提起』(ナカニシヤ出版、2017年)がある。