東洋経済 ONLINE STORE

書籍

現代経済学の潮流2014
  • 法人専用>単品購入 請求書払い

現代経済学の潮流2014

岩本 康志編/神取 道宏編/塩路 悦朗編/照山 博司編
ISBN:9784492314470
旧ISBN:4492314474
サイズ:A5判 上製 242頁 C3033
発行日:2014年06月13日
定価
2,592円(税込)
日本経済学会唯一の日本語版機関誌。最先端の研究論文5本と「経済学術誌」「日本国債」がテーマのパネル討論2本を収録。

ネット書店でご購入

  • amazon
  • 楽天ブックス
  • セブンネットショッピング
  • ヨドバシカメラ
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • ローチケHMV
  • honto
  • TSUTAYA
  • HonyaClub

一覧新着情報

関連商品

商品詳細

目次
第1章 非伝統的金融政策の効果:日本の場合──本多佑三

第2章 法とマクロ経済──柳川範之

第3章 景気循環における異質性と再配分ショック──小林慶一郎

第4章 学校選択問題のマッチング理論分析──安田洋祐

第5章 高年齢者雇用安定法の影響分析──近藤絢子

第6章 日本の経済学術誌の将来性:編集長の視点(パネル討論1 )
     ──芹澤成弘・伊藤秀史・大垣昌夫・福田慎一・矢野 誠

第7章 日本国債(パネル討論2)
     ──北村行伸・井堀利宏・岡崎哲二・齊藤 誠・二神孝一
編者プロフィール
岩本 康志
いわもと・やすし
東京大学大学院経済学研究科教授。専門は公共経済学・マクロ経済学。

神取 道宏
かんどり・みちひろ
東京大学大学院経済学研究科教授。専門はミクロ経済学・ゲーム理論。

塩路 悦朗
しおじ・えつろう
一橋大学大学院経済学研究科教授。専門はマクロ経済学。

照山 博司
てるやま・ひろし
京都大学経済研究所教授
著者・編集者コメント
日本経済学会の学会誌です。収録された5本の論文は日本の経済学界を代表する経済学者による、最先端の研究です。パネルディスカッション「日本の経済学術誌の将来性」日本国債」の2本は、パネリストにより多面的な議論が展開され、経済学界の進むべき道や、現実の経済問題にも大きな示唆を与えます。論文の読者は研究者、パネルの読者は研究者と政策担当者が中心ですが、そうした専門家にとっては必読文献といえます。



『現代経済学の潮流 2014』
はしがき

 日本経済学会は,日本を代表する経済学の総合学会である.前身となったのは,理論経済学会(1934年に日本経済学会として発足,1949年に名称変更)と日本計量経済学会(1950年発足)という2つの学会である.両学会は1968年に統合され,新会則のもとで理論・計量経済学会が発足した.1997年に日本経済学会と改称され,現在に至っている.

 1950年以来,理論経済学会によって発行されていた学術雑誌『季刊理論経済学』は,1960年より理論経済学会と日本計量経済学会の合同学会誌とされ,査読制度が導入された.1968年の両学会統合にともない,同誌は,理論・計量経済学会の学会誌となった.1950年以降1994年まで東洋経済新報社から発行されてきたが,1995年にThe Japanese Economic Reviewと名称をあらため,全編英文化された.当初はBasil Blackwell社から,そしてその後Wiley社によるBasil Blackwell社の買収にともない,現在はWiley社から英文の学術誌として発行されている.

 『現代経済学の潮流』は経済理論の現実的かつ実際的な応用が求められる環境のなかで,日本経済学会の公式の日本語刊行物として1996年から毎年出版されているものである.『現代経済学の潮流』は,かつて『季刊 理論経済学』に発表された多くの優れた日本語論文の伝統を継承するとともに,新たに産学官民の共同の研究や情報交換の場ともなることを目指している.

 本書『現代経済学の潮流 2014』は,日本経済学会の2013年度春季大会(富山大学)・秋季大会(神奈川大学)で発表された論文から,会長講演,石川賞講演,および3つの特別報告論文を選び,2つのパネル・ディスカッションを加えたものである.

 第1章「非伝統的金融政策の効果:日本の場合」は,本多佑三(関西大学)の会長講演に基づくもので,わが国の中央銀行が行ってきた「非伝統的金融政策」の効果に関する実証研究である.量的緩和政策を軸とした非伝統的金融政策は,深刻なデフレや金融危機からの回復策としてまず日本で,次いでアメリカで採用されたが,それが効くという見解と効かないという見解の両方があり,少なくとも日本においてはその効果は論争となっている.本論文の目的は,こうした論争に対してデータに基づいた証拠を示し,非伝統的金融政策の効果を検証することである.具体的には,2001年3月から2006年3月にかけて日本銀行が採用した量的緩和政策に関して計量経済学的分析を行い,少なくとも「株価の上昇が投資を増やす」といういわゆる「トービンのq」効果を通じて,景気刺激がもたらされたことが実証的に示される.さらに,この時期の経済を説明する,簡単で操作の容易な経済モデルが提示され,ベースマネーの経済への注入が,債券の利子率を引き下げ,株式市場からの要求収益率を引き下げ,自国通貨価値を減価させることが示される.
 銀行間決済の短期金融市場における利子率がゼロに近づき,もはやこれ以上低下させることができなくなったとき,どのような経路で中央銀行が景気を回復させることができるか,という「非伝統的金融政策」の問題は,実務的にも理論的にも重要なマクロ経済学上の新たな課題である.本多論文は,この問いに対してデータに基づいた証拠を示しつつ答える点で,貴重な洞察を与える研究であると言うことができる.

 第2章「法とマクロ経済」柳川範之(東京大学)による石川賞受賞記念講演論文である.法律が経済活動に影響を与えていることはよく知られている.そうである以上,マクロ経済に対しても法律は大きな影響を与えるはずである.しかし両者の関係は今まであまり大きな議論の対象となってこなかった.本章ではこの新しいトピックを,「金融市場の不完全性」をキーコンセプトに,2つの角度から掘り下げて論じている.第1のテーマとして,グローバル化が各国経済に与える影響が検討されている.そこでは,法制度整備が不十分な国で資本移動を自由化してしまうと資本流出が生じること,その程度は貿易を自由化したほうがより悪化することが示される.そのため,法制度整備をして適切な金融市場をつくることがグローバル化への対応としては不可欠であることが論じられている.またグローバル化が進んだ世界では,制度整備が進んだ国でも,他の国の制度整備が遅れていると,その影響を受けて経済が非効率化することも示される.第2のテーマはバブルと経済成長・景気変動への影響である.そこでは,バブルの存在条件は制度整備環境に依存していること,またバブルが経済成長に与える影響も制度整備環境の程度に影響を受けることが示される.さらに筆者は,バブルが崩壊した際の望ましい救済政策についても,金融市場の整備の程度によって異なることを証明する.このようにして,マクロ経済政策と金融市場の法制度整備の間に密接な関係があることが明らかにされている.本章を通して印象的なのは,1つの道具立てを持って,2つの全く異なるマクロ経済学上の重大問題の本質を解き明かしている点である.筆者が開発した経済理論の切れ味の鋭さや応用範囲の広さに多くの読者が魅了されることであろう.

 第3章「景気循環における異質性と再配分ショック」は,金融的摩擦が存在する経済におけるショックの伝播メカニズムについて,小林慶一郎(慶應義塾大学)が行った特別報告をもとにしている.本章冒頭に優れた解説があるように,2008年の世界金融危機以降のマクロ経済学研究は,景気循環モデルの枠組みで,金融危機とその後の不況をいかにとらえるかという問題に注力してきた.本章の内容は,この分野への本質的な貢献となる著者の最近の研究成果の報告である.まず,通常の景気循環との対比で,金融危機後の景気循環モデルが示すべき特性が提示され,続いて,それらの性質をほぼ満たすモデルが構築される.本章で用いられるモデルは,Kiyotaki型モデルに労働供給を導入したものである.その特徴は,生産性が異なる企業家が存在する点,および,企業家の借入れが担保価値に制限される点にある.信用制約が存在することで,低生産性企業家から高生産性企業家への資金移動が阻害され,非効率的な生産が行われることになる.本章のモデルで重要な役割を果たす「再配分ショック」とは,負債デフレーションや資産バブルの崩壊のように,借り手(高生産性企業家)と貸し手(低生産性企業家)間の予期せぬ富の移転を引き起こすショックであり,金融危機は大きな再配分ショックと解されている.数値シミュレーションにより,この再配分ショックが,経済全体の生産性の低下と,経済変数に強い粘着性と増幅性を持った(hump-shaped)伝播反応をもたらすことが示される.これは既存モデルが十分に再現できなかった金融危機後の景気循環の特徴であり,この分野の研究の進展に大きく寄与する結果である.

 第4章「学校選択問題のマッチング理論分析」は,安田洋祐(大阪大学)による特別報告をもとに書かれている.マッチング理論とは,人と人,人と組織など,2つのグループのメンバー同士をパートナーとしてマッチさせる問題を扱うゲーム理論の一分野である.公立学校の生徒が複数の選択肢のなかから学校を選べる制度が1980年代後半から各国で導入されているが,どのように生徒を学校に割り当てればよいかという問題が明確な理論モデルによって検討され始めたのは,ほんの10年ほど前である.しかしその研究成果はすでに,米国のニューヨーク市やボストン市で用いられている.本章では,マッチング理論に基づく学校選択問題の基本的なモデルを解説したうえで,最近の新たな研究動向までを紹介している.とくに,学校選択問題では,学校側の生徒に対する優先順位において同順位が見られること,くじによる同順位の解消が用いられることに特徴がある.最近の研究では,これらの特徴を考慮に入れることで,これまで望ましいと考えられていたマッチング方式の問題点が明らかになり,従来は問題があると考えられていた方式も再評価されるようになるとともに,新しい方式が提案されてきている.本章では,こうした学界の最先端の動向が高度な数学を用いることなく,わかりやすく語られている.経済理論が身近な制度に影響を与える重要な実例において,現実の問題を的確にとらえることの重要性を示した本章は,非常に示唆に富む,有益な論考であるといえる.

 第5章「高年齢者雇用安定法の影響分析」は,近藤絢子(横浜国立大学)による特別報告に基づいている.本章では,2006年の高齢者雇用安定法の改正が60歳代前半の男性の就業状態に与えた影響について,著者の最新の実証結果が紹介される.段階的に引き上げられてきた年金支給開始年齢までの雇用確保措置として,2006年の改正は,定年延長や継続雇用などの措置を雇用主に義務付けた.本章は,この改正が60歳代前半の就業率上昇に効果的であったことを示している.高齢者雇用安定法の変遷と高齢者雇用政策に関連する実証分析が手際よく展望された後,「労働力調査」(総務省統計局)の個票データによった詳細な分析が行われる.その結果,2006年の改正が60歳代前半の男性の就業率と労働力率の上昇に効果があったこと,継続雇用の増加は高齢者の転職を阻害するものではなかったこと,さらに,継続雇用される労働者の割合は大企業ほど高かったことが明らかとされている.本章の内容は,大規模ミクロデータを用いた優れた高齢者雇用政策の効果の計量分析である点で学術的に寄与するのみでなく,高齢化社会における労働供給の確保を検討する際の基礎的研究となりうるものであり政策的貢献度も高い.

 第6章「日本の経済学術誌の将来性:編集長の視点」は座長を芹澤成弘(大阪大学)とするパネル討論の記録である.学界の出している学術誌は,研究推進に中心的な役割を果たすと同時に,その学界のステータスを表しており,フラグシップにたとえられる.日本の経済学界の出している学術誌であるJapanese Economic Review(JER),Japan and the World Economy(JWE),Journal of the Japanese and International Economies(JJIE),International Journal of Economic Theory(IJET)も,日本の経済学界のフラグシップの役割を果たしている.日本の経済学界の将来のために,これらの学術誌の現状を分析し今後どう発展していくかを考えることが,非常に重要である.また,若手研究者は,これらの学術誌がどのように編集されているかに強い関心があるであろう.このパネル討論には,それぞれの学術誌の編集長,あるいはこれまで編集にたずさわってきた,伊藤秀史(一橋大学),大垣昌夫(慶應義塾大学),福田慎一(東京大学),矢野誠(京都大学)の4氏がパネリストとして参加した.各学術誌のAISランキング,投稿数,採択率などのデータ,編集方針,新しい取組みなどが,紹介された.読者はこの討論から,各誌がどのようにその内容の質と国際的地位を高めようとしているか,またそれを通じてどのように日本の経済学界に貢献しようとしているか,知ることができるであろう.各氏の発言には日本の経済学研究者に向けての貴重なメッセージが含まれており,本パネル討論の内容が多くの読者の目に触れることを願ってやまない.

 第7章「日本国債」は座長を北村伸行(一橋大学)とする,井堀利宏(東京大学),岡崎哲二(東京大学),齊藤誠(一橋大学),二神孝一(大阪大学)によるパネル討論の記録である.日本国債の発行残高の急激な増加は,日本経済にとって大きな懸案となっている.このパネル討論では幅広い視点から,日本国債の抱える問題点と今後の対応策について議論が行われ,パネリストからは以下のような論点が示された.まず大きな論点は,財政健全化を進めるための財政ルールのあり方である.財政赤字は政治過程から生み出されることから,政治的意思決定を考慮に入れた財政ルールを構築することが重要である.また,マクロ経済学の視点からは,財政ルールがマクロ経済の安定性と経済厚生に与える影響を踏まえて,財政健全化のスピードを決めることが必要とされる.第2の重要な論点は,日本銀行による国債保有の是非である.公債償還財源としての通貨発行益は限りがあり,かつ通貨発行益を得ようとした場合の高インフレーションの厚生費用は非常に大きくなる.また,市場による国債消化が持続可能である環境を考えるうえで,日銀の国債引受けが行われた1930年代の経験が大きな教訓となる.さらにフロアからの質問も含めて活発で,きわめて有益な議論が展開された.日本国債の問題への視点は多様であるが,この問題には簡単な解決策はなく,財政の健全化と金融システムの安定を図り,政治家の強いリーダーシップのもとで長い時間をかけて解決していかざるを得ないということが,共通した見解であった.

 本書所収の論文は,それぞれの分野における最新の研究成果であり,今後の経済学の新たな展開とさらなる発展を促すものである.最後に,出版にあたり『季刊理論経済学』の当時からお世話になっている東洋経済新報社,および同社出版局の中山英貴氏に感謝したい.

2014年4月
エディター    
岩本 康志 (東京大学)
神取 道宏 (東京大学)
塩路 悦朗 (一橋大学)
照山 博司 (京都大学)

ランキング

MBA100の基本

MBA100の基本

これ以上やさしく書けないMBAのエッセンス。100の基本コンセプトを軸に、復習にも使える仕事・ビジネスの便利帳。 (2017年01月20日発売)
定価:1,620円(税込)
僕らが毎日やっている最強の読み方

僕らが毎日やっている最強の読み方

2人の誰でもできる「インプットの技法」をまとめた読者待望の1冊。共通点と違いとともに、「知の源泉」が初めて明らかに。 (2016年12月16日発売)
定価:1,512円(税込)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

最強の働き方

ITロードマップ 2017年版

いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編

伝えることから始めよう

就職四季報 女子版2018年版

藤原和博の必ず食える1%の人になる方法

RSS一覧 WHAT'S NEW

記事一覧インフォメーション