経済成長という呪い

ダニエル・コーエン著/林 昌宏訳
2017年8月25日 発売
定価 2,200円(税込)
ISBN:9784492315026 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:224

水野和夫氏推薦!

人類は無限の欲望から逃れられないのか。

ピケティ、アタリと並ぶ欧州を代表する知性による、

歴史的な観点から見た現代資本主義への警鐘と提言。




経済成長は、幸福という目的を達成する手段ではなく、むしろ生活の苦悩から人間を救い出す役割を担う宗教のような存在となった。

しかし、数億人の人々が経済成長という神を崇めたせいで、地球上の生命が危険にさらされている。

経済成長は、持続的ではない。

しかし、人が経済成長を求めるかぎり、成長は私たちの無限の欲望と化す。

歴史を振り返れば、人は、何度も、メンタリティを変化させてきた。

人と社会のメンタリティは、変化する。あるべき方向にメンテリティを変化させるために、進歩とは何かを、考え直さなくてはならない。

経済成長や進歩という概念を見直すためのガイドブックであり、欧州のインテリによる、歴史的な観点から見た現代資本主義への警鐘の書。

著者の前著『経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える』は、欧州でジャレド・ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』を超えるベストセラーとなった。

 

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概要

人類は無限の欲望から逃れられないのか。ピケティ、アタリと並ぶ欧州を代表する知性による歴史的な観点から見た現代資本主義への警鐘

目次

日本語版序文

序論 経済成長なき進歩はありうるのか


第一部 経済成長の源泉
 人類の時代-世界を支配するに至った「文明化」の過程
 脱出-絶滅の危機
 二〇二六年一一月一三日-人類を救った予想外の人口転換
 貨幣の誕生-富に関する言語の発明
 歴史の飛翔-ヨーロッパ独自のものはあったのか?
 閉じた世界から無限の宇宙へ-キリスト教と科学革命

第二部 未来だ、未来だ
 テクノロジーの特異点が迫りつつある
 人間の労働はどうなるのか
 失われた経済成長
 マルクスからハリウッドへ-機械化と失業
 新たな衝撃-人口転換という「奇跡」

第三部 進歩を再考する
 
“新たな”大転換
 自主独立とサバイバル
 神話と恨み-物質的な富から解放されない人間
 ダブル・バインド〔二重の拘束〕
 どうすればデンマーク人のようになれるのか-ポスト工業社会への移行
 社会的族内婚-誰と一緒に暮らすのか
 経済成長を超えて-異端者糾弾から社会的つながりの消費社会へ

結論 トライアングル地獄からの脱出と超越

謝辞
訳者あとがき


 

著者プロフィール

ダニエル・コーエン  【著】
だにえる こーえん

1953年、チュニジア生まれ。フランスを代表する経済学者であり思想家。エリート校であるパリ高等師範学校(エコール・ノルマル・シュぺリウール)の経済学部長。2006年には、経済学者トマ・ピケティらとパリ経済学校(EEP)を設立。元副学長であり、現在も教授を務めている。専門は国家債務であり、経済政策の実務家としても活躍している。また、『ル・モンド』紙の論説委員である。
著書は多数あり、アメリカをはじめとして世界十数ヵ国で翻訳出版されている。邦訳書には、『迷走する資本主義』(林昌宏訳、新泉社)、『経済と人類の1万年史から、21 世紀世界を考える』『経済は、人類を幸せにできるのか?』(ともに林昌宏訳、作品社)がある。

林 昌宏  【訳】
はやし まさひろ

1965年、名古屋市生まれ。名古屋市在住。立命館大学経済学部経済学科卒。翻訳家。おもな訳書に、『経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える』(作品社)などのダニエル・コーエンの著作をはじめ、『21 世紀の歴史』(ジャック・アタリ著、作品社)、『憎むのでもなく、許すのでもなく』(ボリス・シリュルニク著、吉田書店)、『人種は存在しない』(ベルトラン・ジョルダン著、中央公論新社)などがある。