[新訳]大転換

市場社会の形成と崩壊

ポラニー,K.著/野口 建彦訳/栖原 学訳
2009年6月19日 発売
定価 5,280円(税込)
ISBN:9784492371077 / サイズ:サイズ:A5判/ページ数:632

経済社会学の古典的名著。近代の潮流を大きく2つに分類し、互恵的、家長的な共同体的経済から自己調整的近代市場経済への枠組みの変転を描く大著。経済人類学者ポラニーの集大成の新訳。

新版については、読みやすさに加え、訳注等も充実。スティグリッツ、ブロックの序言を付す。「IMF、世界銀行といった国際的金融協調のコンセプトがまだ机上の空論と考えられていた時代に本書は書かれた。ポラニーの問題提起は現代を生きるわれわれにも鋭い問題を突きつけている」(スティグリッツ序言より)

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概要

リーマン・ショック以降急激に再注目される古典的名著の新訳。共同体的経済から自己調整的近代市場経済への枠組みの変転を描く。読みやすさに加え、訳注等も充実。

目次

第Ⅰ部 国際システム
 第1章 平和の百年
 第2章 保守の二〇年代、革命の三〇年代
第Ⅱ部 市場経済の勃興と崩壊(1)──悪魔のひき臼
 第3章 「居住か、進歩か」
 第4章 社会と経済システム
 第5章 市場パターンの展開
 第6章 自己調整的市場と擬制商品──労働、土地、貨幣
 第7章 スピーナムランド法──一七九五年
 第8章 スピーナムランド法以前と以後
 第9章 貧民とユートピア
 第10章 政治経済学と社会の発見
第Ⅱ部 市場経済の勃興と崩壊(2)──社会の自己防衛
 第11章 人間、自然、生産組織
 第12章 自由主義的教義の誕生
 第13章 自由主義的教義の誕生(続)──階級利害と社会変化
 第14章 市場と人間
 第15章 市場と自然
 第16章 市場と生産組織
 第17章 損なわれた自己調整機能
 第18章 崩壊への緊張
第Ⅲ部 大転換の進展
 第19章 大衆政治と市場経済
 第20章 社会変化の始動
 第21章 複合社会における自由

著者プロフィール

カール・ポラニー  【著】

1886‐1964。1886年オーストリアのウィーンに生まれる。父親の仕事の都合で幼少期に一家はハンガリーのブダペストに移住。1906年ブダペスト大学進学。1908年文化運動組織「ガリレオ・サークル」を結成。1915年オーストリア=ハンガリー軍の騎兵将校として従軍。1918年負傷のため退役。「ハンガリー革命」により、自由主義勢力連合政権の法相となる。1919年右派民族主義政権の誕生により、ブダペストを去りウィーンに亡命。1920年イローナ・ドゥチンスカと結婚。1922‐24年ミーゼスとの「社会主義経済計算論争」に参加。1924‐33年ウィーンの総合誌『エスターライヒッシェ・フォルクスヴィルト』の編集主幹を務める。1933年ナチス政権の出現により、ウィーンからロンドンに亡命。1934‐40年オクスフォード大学・ロンドン大学の成人教育プログラムである「労働者教育協会」の講師を務める。1941‐43年アメリカのヴァーモント州にあるベニントン大学の客員研究員となり、著書『大転換―市場社会の形成と崩壊』を執筆、1944年アメリカで、45年イギリスで出版。1947‐53年カナダに移住し、コロンビア大学客員教授を務める。1953‐58年経済人類学の研究プロジェクトに従事。1958年『初期帝国における交易と市場』を出版。1958年マジャール語の詩集『鋤とペン』を妻イローナと英訳し出版。1961年ハンガリー訪問。1963年ハンガリー再訪。1964年没す。死後に雑誌『共存』刊行

野口 建彦  【訳】
のぐち たけひこ

1941年東京生まれ。1965年慶應義塾大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科博士課程を経て、日本大学経済学部教授。東京大学教養学部講師、慶應義塾大学経済学部講師、ケンブリッジ大学クレアホール・カレッジ客員研究員、同ペンブルック・カレッジ在外研究員などを務める

栖原 学  【訳】
すはら まなぶ

1947年東京生まれ。1971年東京大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科を経て、日本大学経済学部教授。専門はロシア経済論、比較経済体制論。一橋大学経済研究所講師、慶應義塾大学経済学部講師、早稲田大学社会科学部講師、バーミンガム大学ロシア東欧研究センター客員研究員などを務める