藩札の経済学

鹿野 嘉昭著
2011年3月1日 発売
定価 4,180円(税込)
ISBN:9784492371084 / サイズ:サイズ:A5判/ページ数:264


藩札の真実に迫る!



江戸時代を通じて、金属貨幣である金貨、銀貨、銅貨とは別に、西日本を中心に諸藩では「藩札」と呼ばれる紙幣が流通していました。流通した藩札は、江戸時代の経済システムにおいてどのような地位を占めていたのか。濫発されて価値が大きく下落したという通説は本当か。



本書は藩札に関する初の全国的かつ本格的な研究書です。貨幣史においてきわめて重要な位置づけにありながら、その種類・発行時期の多様さからどうしても地域研究にとどまりがちだった藩札について、全国・江戸全期にわたって網羅・研究しています。これまでの藩札に関するさまざまな学説上の見解の相違や、藩札にまつわる一般的な誤解に対し、丹念に証拠を集めることで、その実態を解き明かしていきます。

商品を購入する

概要

藩札はどのように発行され、流通したのか。江戸時代の経済システムにおける藩札の意義はなにか。幕末期に藩札が乱発されたのは本当か。藩札に関する初の全国的研究。

目次


第1章 藩札前史としての私札の発展
    ――伊勢国射和地方で発行された富山札を中心として
第2章 藩札の一般理論
    ――経済学の視点から
第3章 藩札の流通実態
    ――日本銀行による委託研究の成果を中心として
第4章 いわゆる藩札=信用貨幣論争について
第5章 銭匁勘定と銭遣い
    ――江戸期幣制の特色を再検討する
第6章 幕末期、藩札は濫発されたのか
    ――藩札発行高推計に基づき、濫発論を再検討する
第7章 藩札の整理について
    ――明治初年における通貨統合の一側面

 

著者プロフィール

鹿野嘉昭
しかの よしあき

1954年京都府に生まれる.1977年同志社大学経済学部卒業,日本銀行入行.筑波大学助教授(社会工学系),日本銀行金融研究所調査役,経団連21世紀政策研究所研究主幹(日本銀行より出向)等を経て,現在,同志社大学経済学部教授.大阪大学博士(経済学).

主要著書に『日本の銀行と金融組織』東洋経済新報社,1994年9月(第35回エコノミスト賞),『日本の金融制度(第2版)』東洋経済新報社,2006年8月,『日本の中小企業』,東洋経済新報社,2008年2月,『金融用語辞典(第4版)』(貝塚啓明,賀来景英との共編),東洋経済新報社,2005年8月,『金融システム(第3版)』(酒井良清との共著),有斐閣(アルマ・シリーズ),2006年12月,『金融政策(改訂版)』(酒井良清,榊原健一との共著),有斐閣(アルマ・シリーズ),2004年4月,『金融論をつかむ』(前多康男,酒井良清との共著),有斐閣,2006年12月等.