日本式モノづくりの敗戦

野口 悠紀雄著
2012年12月7日 発売
定価 1,980円(税込)
ISBN:9784492395820 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:368


相手はサムスンではなくアップル・EMS連合軍だった



シャープやパナソニックが大赤字に陥るなど、日本の製造業が苦境に陥っている。著者はその主因として、日本のメーカーが製造プロセスの垂直統合にこだわり、EMSを活用した水平分業の流れを理解しなかったことを指摘する。世界のモノづくりは劇的に変わっており、日本式の優位性は崩れ去ったのだ。



では、成長する新興国市場に飛び込めば、収益があがるのか? そこでは、際限のない価格競争が繰り広げられている。日本メーカーはどのような方向で戦略を練り直すべきなのか。「世界の大変化への対応で必要とされるのは、現場力ではなく経営力!」――ビジネスモデルの再構築に取り組む日本メーカーに、多くの示唆を与える。


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概要

日本の製造業はアップルや中国の新興企業にいつの間に差をつけられたのか。製造業の赤字転落の背景をえぐり出し、戦略の練り直しを問う。

目次


    第1部 新しい潮流

第1章 アップルは製造業のビジネスモデルを変えた――スマイルカーブとファブレス企業
第2章 日の丸エレクトロニクス敗退の原因――円高でなく垂直統合が問題
第3章 巨大EMSというバケモノ――重要なのは低賃金でなく、社会の生産体制
第4章 若い企業と新世代が中国を変える――質の高い企業と人材が中国に誕生

    第2部 旧体制の強固な岩盤

第5章 垂直統合・系列・蛸壷社会――縦割り蛸壷が並存する日本社会
第6章 系列解体後に中小・零細企業はどうなる?――グローバル水平分業の一員となれるか
第7章 旧体制が支配する中国の金融――権力と既得権益の巣
第8章 金持ちなのに弱い日本の金融力――直接金融と投資銀行業務での日米格差

    第3部 未来への戦略

第9章 新興国とどう向きあうか――価格競争は間違い。ブランドを使え
第10章 改革の推進主体は、政府でなく経営者――市場が改革方向を示す
第11章 人材開国で日本を活性化――高度専門人材を受け入れよう

著者プロフィール

野口悠紀雄
のぐち・ゆきお

1940年東京生まれ.63年東京大学工学部卒業.64年大蔵省入省.72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得.一橋大学教授,東京大学教授(先端経済工学研究センター長),スタンフォード大学客員教授,早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問.専攻はファイナンス理論,日本経済論.

主要著書 『情報の経済理論』(東洋経済新報社,1974年,日経・経済図書文化賞),『財政危機の構造』(東洋経済新報社,1980年,サントリー学芸賞),『土地の経済学』(日本経済新聞社,1989年,東京海上各務財団優秀図書賞,日本不動産学会賞),『バブルの経済学』(日本経済新聞社,1992年,吉野作造賞),『経済危機のルーツ』『1940年体制(増補版)』(東洋経済新報社,2010年),『大震災からの出発』(東洋経済新報社,2011年),『消費増税では財政再建できない』『製造業が日本を滅ぼす』(ダイヤモンド社,2012年).