世界的な低成長の流れはとまらない
“豊かな低成長の時代”が始まる
世界的に低成長の時代に入り、社会が成熟した現在では、政府の成長目標2%が構造的に無理であることをわかりやすく解説。それにもかかわらず「経済成長がすべてを解決する」といったメンタリティから抜けていないことこそが問題であると指摘する。これからは頭を切り替え、0~1%の低成長を前提にして物事を考えていくべきだという。いたずらに高い成長率を求めるのではなく、成熟した社会を楽しむような発想への転換が必要だというのだ。
そして、国も個人も、世界最高レベルの環境・安全・健康など「日本力(にほんりょく)」を活かした行き方を考えていくべきであるとする。カネやモノ以外の基準をもち、それぞれの身の丈にあった幸せや楽しみを発見し自由に生きることを提言する。低成長こそ豊かな成熟の時期であり、それを国民一人ひとりがどうエンジョイするかが大切であるというわけである。そうした生活を楽しむ心が、柔軟な発想を生み、社会に安定的な富をもたらすとする。
なお、タイトルの 「今日よりいい明日はない」 は16世紀のポルトガルのことわざ。大航海時代が終わり、もはや成長が見込めない時代の言葉で、これから良くなることはないだろうという見通しが背景にある。だが、別に悲観していたわけでなく、むしろ楽観的に、今が最高なのだから、楽しむべきだ、という気持ちを込めた格言である。