「今日よりいい明日はない」という生き方

榊原 英資著
2017年8月4日 発売
定価 1,430円(税込)
ISBN:9784492396360 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:192

世界的な低成長の流れはとまらない

“豊かな低成長の時代”が始まる




 世界的に低成長の時代に入り、社会が成熟した現在では、政府の成長目標2%が構造的に無理であることをわかりやすく解説。それにもかかわらず「経済成長がすべてを解決する」といったメンタリティから抜けていないことこそが問題であると指摘する。これからは頭を切り替え、0~1%の低成長を前提にして物事を考えていくべきだという。いたずらに高い成長率を求めるのではなく、成熟した社会を楽しむような発想への転換が必要だというのだ。

 そして、国も個人も、世界最高レベルの環境・安全・健康など「日本力(にほんりょく)」を活かした行き方を考えていくべきであるとする。カネやモノ以外の基準をもち、それぞれの身の丈にあった幸せや楽しみを発見し自由に生きることを提言する。低成長こそ豊かな成熟の時期であり、それを国民一人ひとりがどうエンジョイするかが大切であるというわけである。そうした生活を楽しむ心が、柔軟な発想を生み、社会に安定的な富をもたらすとする。

 なおタイトルの 「今日よりいい明日はない」 は16世紀のポルトガルのことわざ。大航海時代が終わり、もはや成長が見込めない時代の言葉で、これから良くなることはないだろうという見通しが背景にある。だが、別に悲観していたわけでなく、むしろ楽観的に、今が最高なのだから、楽しむべきだ、という気持ちを込めた格言である。

 

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概要

世界的低成長期を迎え日本は年1%程度の成長しか望めないと断言。成熟時代をプラスに捉え、本当の豊かさを得るための指針を示す。

目次

はじめに 成熟社会はエンジョイすると上手くいく

第1章 低成長の時代に入った日本
第2章 成熟社会とは何か
第3章 「環・安・健」が豊かさを生む
第4章 「日本力」① 農業・観光・地方文化
第5章 「日本力」② 和食文化&新「環・安・健」
第6章 リオリエントと江戸文化の再評価
第7章 成熟時代の心構え

著者プロフィール

榊原 英資  【著】
さかきばら えいすけ

1941年生まれ。東京大学経済学部卒業。大蔵省入省後、ミシガン大学で経済学博士号取得。IMFエコノミスト、ハーバード大学客員准教授、大蔵省国際金融局長、同財務官を歴任する。為替・金融制度改革に尽力し、「ミスター円」と呼ばれる。1999年に退官後、慶應義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、現在、青山学院大学特別招聘教授、一般財団法人インド経済研究所理事長。『榊原英資 インド巨大市場を読みとく』(共著)、『幼児化する日本社会』(以上、東洋経済新報社)、『国家の成熟』(新潮社)など著書多数。