予測できた危機をなぜ防げなかったのか?

ベイザーマン,M.H.著/ワトキンス,M.D.著/奥村 哲史訳
2011年11月18日 発売
定価 3,080円(税込)
ISBN:9784492502297 / サイズ:サイズ:A5判/ページ数:333


問題を放置し続ければ いずれ大惨事がやってくる



予見可能な危機とは、その潜在性を認識するのに必要なデータがあるのに、心理的要因、組織的障壁、政治的影響により、効果的な防止策がとられないときに起こるものをいう。



「環境問題」「航空会社のマイレージ」「先進国の年金と医療」「テロ対策」……などの問題は、認識がされていながら、解決していない。「9・11同時多発テロ」「エンロンの破綻」などのように、いずれ大惨事がやってくることが事前に警告・予測されていたにもかかわらず、重大な問題を放置し続けることによって危機が起こったのである。



その責任はリーダーにある。多くの組織では、明らかに措置を講ずべき予見可能な危機が、はっきり目に見える形で、今も迫りつつある。



本書では、多くのカタストロフィーが明らかに予見可能であったことを解明しつつ、危機を「認識」し「優先順位をつける」などの予見可能な危機が暴発するのを予防するための道具を提案する。

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概要

事前に予測・警告されていたにもかかわらず、起こってしまう失敗がある。肺ガン、停電、環境問題を事例として取り上げながら、予測していた危機が現実化してしまうメカニズムを明かす。

目次


第1章 予見可能な危機とは何か

第1部 予見可能な危機のプロトタイプ

第2章 9・11:予見可能な危機を無視するコスト
第3章 エンロン破綻と監査法人独立性の欠陥

第2部 気がついていることに、
        なぜアクションをとらないのか

第4章 認知要因:人間のバイアスの作用
第5章 組織要因:構造的欠陥の役割
第6章 政治要因:特殊利益団体の役割

第3部 予見可能な危機を予防する

第7章 認識:発生する脅威をより早く確認する
第8章 優先順位をつける:適切な問題に集中する
第9章 動員:予防措置への支援を気付く
第10章 将来の予見可能な危機

 

著者プロフィール

マックス・H・ベイザーマン
Max H. Bazerman

ハーバード・ビジネススクールにおいて経営管理ジェシー・イジドー・ストラウス記念講座教授を務める。

著書にSmart Money Decisionsがある。共著に"You Can't Enlarge the Pie": The Psychology of Ineffective Government, Judgment in Managerial Decision Making(邦訳『行動意思決定論』白桃書房)、Cognition and Rationality in Negotiation, Negotiating Rationally(邦訳『マネジャーのための交渉の認知心理学』白桃書房)、Negotiation Genius(邦訳『交渉の達人』日本経済新聞出版社)がある。

マイケル・D・ワトキンス
Michael D. Watkins

リーダシップ戦略をメインに扱うジェネシス・アドバイザーズの創業者。ハーバード・ビジネススクール教授、ハーバード・ケネディスクール教授を歴任。

著書にThe First 90 Days: Critical Success Strategies for New Leaders at All Levels(邦訳『ハーバード・ビジネス式マネジメント』アスペクト)、Breakthrough Business Negotiation(邦訳『ビジネス交渉術』PHP研究所)がある。共著にWinning the Influence Game, Breakthrough International Negotiationがある。

奥村哲史  [訳者]
おくむら・てつし

名古屋市立大学大学院教授。1959年札幌生まれ。早稲田大学大学院博士課程単位取得、滋賀大学教授を経て2006年より現職。ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院DRRC(紛争解決研究センター)フェロー、フランスESSECビジネススクールIRENE(欧州交渉研究教育センター)学術委員。リスクマネジメント協会評議員。

主な著訳書に『影響力のマネジメント:リーダーのための実行の科学』(訳、東洋経済新報社)『ロースクール交渉学』(共著、白桃書房)『交渉力のプロフェッショナル:MBAで教える理論と実践』(訳、ダイヤモンド社)『「話し合い」の技術:交渉と紛争解決のデザイン』(訳、白桃書房)『交渉の認知心理学:戦略的思考の処方箋』(訳、白桃書房)『マネジャーの仕事』(訳、白桃書房)がある。Academy of Management Journal, Journal of Applied Psychology, Negotiation Journal, Management and Organization Review, Journal of Experimental Psychology, Journal of International Management, International Journal of Conflict Management, 『一橋ビジネスレビュー』などに論文が掲載されている。専門は、交渉と紛争解決、組織行動とリーダーシップ、リスクマネジメントや戦略策定の組織心理的側面。