魂の会社再建

村松 謙一著
2010年11月19日 発売
定価 1,760円(税込)
ISBN:9784492556764 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:288


【編集者コメント】


 

「なぜ、会社を救う理由で経営者の自殺がなくならないのか? 倒産とはまさに「命」の問題だ。そのことを体をはって教えてくれる村松弁護士の「仕事の流儀」に触れてほしい」――(茂木健一郎)。



本書は茂木氏がキャスターをつとめたNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」で大きな反響を呼びアンコール放映にもなった熱血弁護士の実録手記12話である。倒産阻止のために全国を奔走し、日夜、金融機関と戦う村松弁護士はこうこたえる。



「企業救済は海難救命のようなもの。溺れし者を救うのになんの理由もいらない。あきらめたらそこで終わり。必要なのは信念と使命感、大きな情と少しの努力だけ。それが私の流儀であり、「天国からのメッセージ」でもある」――(村松謙一)。



自らの愛娘を亡くしている村松弁護士には、人命と引き替えにしてまで貸し付け金の回収に走る金融機関が理解できないし、許せない。そんな思いは以下の言葉に表れている。



「あるゾンビ企業がある。私が関与して10年が経ち、いまだゾンビの域を出ないが、いまでもかろうじて生きている。しかし、小学校6年生だったその従業員の子どもは今春、無事大学を卒業し、かけがえのない青春時代を過ごせた。ゾンビ企業を生かしてきた意味がそこにある。 私の企業救済は「人間の救済」「生への救済」を目的とし、「事業再生」はその副次的結果に過ぎない。あくまで人間の心の救済を成し遂げたい。世間からゾンビ企業と評されようと、そこには人間たちが生きている。誰しも平穏に生き抜く権利を有している。だからこそ、企業を救済する意味がある。膿は私が吸い取ろう」。



本書は道半ばにして亡くなった経営者、そして筆者自身の亡き娘へのレクイエムでもある。


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概要

銀行にその名を恐れられる一方、人情派で知られる再建弁護士・村松謙一。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でも反響を呼んだ、生々しい実話で綴る「会社救済ドラマ12話」。

目次


第I部 天国からのプレゼント
 1 K社長が命に代えて守りたかったもの
 2 「経済合理性」よりも大切なものは何か
 3 建物ではなくそこで営まれてきた人生を
 4 捨てる神あれば拾う神あり
第II部 不合理な反対
 5 四面楚歌、頼みの綱さえ切れかけて……
 6 不可解な基準なんて要らない
 7 まず求められるべきは「回収」より「再生」
 8 「対症療法」ではなく「根治手術」を
 9 期待をすればこそ……
第III部 共に目指す先には
 10 情と利と社会正義の共有
 11 遅れし企業を見捨てずに
 12 空から吹いたフォローの風

 

著者プロフィール

村松謙一
むらまつ けんいち

弁護士。1954年静岡県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1981年司法研修所入所(35期)。1983年東京弁護士会登録、清水直法律事務所入所。1990年村松謙一法律事務所開設。2000年光麗法律事務所に改名。2003年東京弁護士会倒産法部部長。法務省「倒産犯罪研究会」講師、参議院「財政金融委員会」参考人、全国倒産処理弁護士ネットワーク講師等を務め、2007年と2009年にNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」出演が大きな反響を呼ぶ。講演等多数。

関わった主な「再建型」の法的事件に、鈴屋、カネテツデリカフーズ、長崎屋、佐藤工業、多田建設、月光荘、石岡カントリー倶楽部、落合楼、東京佐川急便などがある。その他、病院等「私的再建型」案件を多数手がける。

著書に、『倒産阻止-再建弁護士の会社救済ファイル-』(東洋経済新報社)、『貸し渋り対策マニュアル』(インデックス・コミュニケーションズ)、『入門 新会社更生法』(共著、ぎょうせい)、『倒産の淵から蘇った会社達-会社救済の現場から-』(新日本出版社)、『プロフェッショナル 仕事の流儀13』(共著、NHK出版)など多数。また、日本経済新聞紙上にて「ビジネスマンの法律講座」(1997~2000年)、「弁護士余録」(2002~05年)を連載執筆。1999年より『日刊帝国ニュース』(帝国データバンク発行)紙上にて、「弁護士ウォッチング/体験的会社救済の手順」(~2004年)、「熱血弁護士が駆ける!/弁護士 村松謙一の体験的企業再建」(2005年~)を連載中。