循環思考

横山 禎徳著
2012年3月30日 発売
定価 1,760円(税込)
ISBN:9784492557075 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:272


ロジックツリーだけでは解決しない、

複雑な問題を解決する技術を提唱していく 



カナヅチがあれば、どんな問題でもすべて「叩いて」解決したくなる。同様に、ロジカルシンキングを身につけていれば、どんな問題もロジックツリーで分析してみたくなる。



しかし、要素還元的思考法であるロジカルシンキングは、事柄や問題をその構成要素に分解する考え方であり、思考や現象を整理するツールとしては優れているが、新たな発想を生み出すものではない。ややこしそうなこと、扱いきれないことを切り捨てた上で、道具に問題を合わせているものであり、創造的な問題解決は望めないのである。



それに対して本書で提唱している循環思考では、単純に現状の因果関係を観察・分析するにとどまらず、望ましい因果関係を創り出すことが要諦となる。まず、ロジカルシンキングでは考慮されていない時間軸の経過を意識して、既存の因果関係をとらえる。これは現状の問題・課題を発生させている悪循環である場合が多い。そして、その悪循環を断ち切り、良循環をつくり出す。



ただし、この良循環とは悪循環の裏返し(例えば「我が社の商品が競合に比べて劣る」→「では、競合に比べてよい商品をつくる」)ではなく、望ましい因果関係を創造することである。現実世界にある複雑な課題・問題に対する時間軸と循環を踏まえて、新しい因果関係を生み出すための思考アプローチにもとづいた解決手法を解説する。


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概要

ロジカルシンキングに代表される論理的思考の限界を示し、新しい思考方法を示す1冊。因果関係ではなく、循環に着目し、問題を引きおこしている悪循環を探し出し、良循環に変えていく方法を示す。

目次


第1章 なぜ、問題を循環で考えるのか
第2章 中核問題を定義する
第3章 循環を見つけだす
第4章「良循環」を駆動するサブシステム
第5章 ケースで理解する「循環思考」
第6章「社会システム・デザイン」への誘い

著者プロフィール

横山禎徳
よこやま・よしのり

東京大学工学部建築学科卒(1966)、ハーバード大学デザイン大学院都市デザイン修士(1972)、MITスローン経営大学院経営学修士(1975)。
前川國男建築設計事務所(東京)、およびデイビス・ブロディ・アソシエーツ(ニューヨーク)において建築デザインに従事。1975年にマッキンゼー・アンド・カンパニー入社、日本企業、および海外の企業に対する収益性改善、全社戦略立案・実施、研究開発マネジメント、組織デザイン、企業変革、企業買収・提携等のコンサルティングを行なう。同社ディレクター、東京支社長を経て2002年定年退職。

現在は社会システム・デザイナーとして住宅供給システムや医療システムのデザイン等の具体的作業を通じて「社会システム・デザイン」の方法論開発、普及に注力。また、東大EMP(エグゼクティブ・マネジメント・プログラム)の企画・推進責任者としてビジネス・スクールとは異なった社会人のための全人格的教育プログラムの確立を目指して活動中。

イグレックSSDI代表取締役、オリックス、および三井住友銀行、三井住友FG社外取締役、健康医療開発機構理事、二次電池社会システム研究会理事、低炭素社会戦略センター上席研究員、東京大学プレジデンツ・カウンシル・メンバー、国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員。

著書に『企業変身願望』(NTT出版、1990年)、『成長創出革命』(ダイヤモンド社、1994年)、『マッキンゼー 合従連衡戦略』(共著、東洋経済新報社、1998年)、『「豊かなる衰退」と日本の戦略』(ダイヤモンド社、2003年)、『アメリカと比べない日本』(ファーストプレス、2006年)などがある。