中央銀行の経済分析

セントラル・バンキングの歴史・理論・政策

春井 久志著
2013年3月22日 発売 在庫なし
定価 4,180円(税込)
ISBN:9784492681343 / サイズ:A5/上/264

中央銀行論(銀行論)の専門書・テキスト。中央銀行に関しては、銀行論のなかでは部分的に扱われるが、まとまった形で歴史や制度とその変遷をまとめた類書はなく、研究者にとっても有用で便利な一冊となっている。
1668年のスウェーデン国立銀行、1694年のイングランド銀行にはじまるとされる中央銀行であるが、当初はそれらも商業銀行にすぎず、長い時間のなかで徐々に中央銀行へと発展していったものであるにすぎない。また中央銀行の設立目的は歴史的には、第一に通貨価値の安定、第二に金融システムの安定、第三に政府への財政支援(戦費調達、国債の目的)であるが、第三は平時には副次的なものとされ、従来は平時には前二者が重視されてきた。
それが今日では、日本においてはバブル崩壊以降の失われた20年、世界的にはリーマンショック以降の世界金融危機、ユーロ危機のなかで、中央銀行が果たしてきた役割の見直しが行われ、従来は副次的であった第三の「政府への財政支援」が重視されるようになっている。
本書では、このような状況を踏まえて、歴史的にも、制度的にも、政策的にも見直しがなされている中央銀行について、その創立当初の17世紀に遡りその歴史や、商業銀行が中央銀行へと変貌する過程なども検証、政策手段の変遷と発達の歴史など分析することを通して、中央銀行の経済的役割について分析するものである。

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概要

通貨価値と金融システムの安定を担ってきた中央銀行が、300年
の歴史を経て大きな変貌をしつつある。その変遷を概観した分析。

目次

序 中央銀行とグローバル金融危機
第Ⅰ部 中央銀行の歴史的分析
第1章 セントラル・バンキンングの歴史的分析視角
第2章 イングランド銀行はいつ中央銀行に変貌したのか
第Ⅱ部 中央銀行の理論的分析
第3章 「金融」と「中央銀行」の存在意義
第4章 中央銀行の理論的分析
第Ⅲ部 中央銀行の政策的分析
第5章 中央銀行の目的と金融政策の目標
第6章 金融政策手段の変遷
補論 金融政策とフィナンシャル・コンディションズ・インデックス
結 セントラル・バンキングの将来
参考文献
あとがき
索引

著者プロフィール

春井 久志  【著】
はるい ひさし

1945年 兵庫県に生まれる
1974年 関西学院大学大学院博士課程満期退学
1974年 名古屋学院大学経済学部専任講師、助教授、教授を経て、現在、関西学院大学経済学部・大学院教授
1993年 博士(経済学)学位取得
所属学会:日本金融学会、日本EU学会、日本国際経済学会、生活経済学会、パーソナルファイナンス学会
主要著作;『金本位制度の経済学――イギリス金本位制度の理論と歴史・政策』(ミネルヴァ書房)、1992年;『現代の国際通貨問題』(共著、法律文化社)、1974年;『経済分析の理論と方法』(共訳、晃洋書房)、1977年;『国際金融経済論』(共訳、東洋経済新報社)、1979年;『金融の理論と実際』(共著、春秋社)、1984年;『富の創造』(共訳、すぐ書房)、1990年;『世界の金融自由化』(共著、東洋経済新報社)、1991年;『現代金融入門』(共著、中央経済社)、1993年;『入門 貨幣と金融』(共著、八千代出版)、1994年、1996年;『中央銀行の独立性』( 共著、東洋経済新報社)、1998年