会社四季報の読み方
四季報には、有望な株を見つけるヒントが満載されています。ですが、その読み取り方を知らなければただの記号でしかありません。四季報のどこをどう読み取ればよいか、今回は以下の3つのポイントに絞ってご説明します。
1営業利益は伸びている?
四季報の業績欄には、売上高、営業利益、経常利益、純利益、1株益、1株配が掲載されています。その企業のこれまでの実績と、これからの業績予想が一覧で見られます。
その中の営業利益を上から順に時系列で追ってみてください。営業利益は、本業で出している儲けのことでなので、ここが毎年伸びていれば、予想値もスピードを緩めず順調に伸びそうな会社と予測できます。
2予想PERは15倍以下?
四季報の右上に株価指標欄があります。そこの予想PERを見てください。
進行中の期と来期の予想PERが掲載されていますが、その両方が15倍以下であれば投資対象の有力候補になります。
なぜなら、PERというのは、株価の割安さを測る指標で、日本の株価の平均がだいたい15倍と言われています。ですので、15倍以下であればおおむね割安と判断できます。
3チャートは上向き?
株価指標の隣に掲載されているチャートを見ましょう。こちらは3年間の株価の動きですが、これが右肩上がりかチェックします。なぜ株価が上がるかというと、この株を欲しい投資家がたくさんいるからです。供給よりも需要が上回っている状態ですので、さらに株価が上がりやすいという特長があります。
チャートが上がっていると、そろそろ下がってくるのでは?と考えるのが普通ですが、この時点でPERが15倍以下であれば、この会社にとって今の株価はまだ割安なので上昇の余地があると考えられます。
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独自の強気予想
四季報には、会社が出すオフィシャルな予想値と、四季報記者が取材に基づいて出す四季報予想値の両方が掲載されます。四季報予想値が、会社予想より大きく上振れていると、それをキッカケに株価が大きく上昇することもあります。
会社の中の人がそれなりの根拠を持って出してくる予想値と違う数値を出すのは、相当の自信を持っているため。その後、実際に四季報予想値と近いところで業績が着地することもあります。
注目の来期予想値
さらに、会社予想値は進行中の期しか出てきませんが、四季報予想値は来期予想まで出しています。その来期予想がぐんと伸びていると、ここでも株価が上昇することもあります。ちなみに日本では3月決算の企業が多いので、夏号に来期の予想値初登場が集中します。つまり夏号はそういったサプライズが多発しやすいホットな号なのです。
コラム【見出し】に込められたメッセージ
『会社四季報 2017年 2集春号』
四季報には、その時期ならではのタイムリーな見出しというのがあります。
たとえば2016年秋号は「円高」、2017年新春号は「IoT」「VR」「AI」、2017年春号は「働き方改革」「ベトナム」「EC」という見出しが頻出しました。見出しを見るだけでも、世相を感じる事ができます。
ちなみに、2016年秋号の7203トヨタ自動車の見出しは「とにかく円高」と投げ捨てるように書かれてあり、円高によるダメージの切実さが見事に表現されていました。
ほかにも「ウハウハ」「やればできた」などのクスっと笑える系、「遠い夜明け」「決断の行方」などのポエム系、「食った食った」(新商品クッタとかけている)、「そばがのびる」(そば向けソフトの提供が後ろに延びたこととかけてる)など、おもしろ見出しを見つけるのも四季報の楽しみ方のひとつです。
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単なるデータ集ではない四季報を、気負わずペラペラとめくってみてください。
きっと今までになかった発見や、新しい企業との出合いが待っています。
本文:藤川 里絵(ファイナンシャルアカデミー「株式投資の学校」講師)
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