ブックタイトル四季報らくらく活用

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概要

四季報らくらく活用

金庫株の保有株数や保有比率は株主欄の「自社(自己株口)」として掲載されている。相場の上昇局面では、株価上昇で自己株の時価も上がりやすく、自己株の有効活用に注目が集まる。明暗分かれる株価の動き大量の金庫株は株式交換による企業買収に活用できる。会社が企業買収に意欲を示し、市場がそれを成長戦略として評価すれば、株価上昇要因となる。また、金庫株は市場に放出して資金調達に使うこともできるが、この場合は希薄化(EPSやPERの悪化)や需給悪化による潜在的な株価下落要因と受け取られやすい。そのため、株式市場では自己株は手元に金庫株として残しておくより消却したほうが、好感される。自己株買いは2016年に入ってから急増している。NTTドコモ(9437)は5000億円(発行済み株式数の5.7%)、ソフトバンクグループ(9984)も5000億円(同14.2%)、日産自動車(7201)が4000億円(同6.7%)など、大規模な自己株買いの発表が相次いだ。自己株買いの発表は経営陣が「自社の株価は現在割安だ」とアナウンスする効果(=アナウンスメント効果)もある。理論的には「自己株買いは株価に中立」とされているが、自社のことを誰よりも詳しい経営陣が株価を割安だと示す影響は大きい。株価が下がれば金庫株の価値も下がるため、自己株買いの発表は、経営陣が今後の業績に自信がある場合に限られてくる。それが株価にプラスに働くわけだ。ドコモ、ソフトバンク、日産は3社とも自己株買いの発表後、株価はそろって10%以上上昇した。決算説明会での孫正義ソフトバンクグループ社長。巨額の有利子負債を抱えながらも、自己株買いに踏み切った(撮影:梅谷秀司)73