- この本を読んで、私は変わった、というポイントがある人がいたら、教えてくれる?
- ある会社でプロジェクトをやらせてもらっていて、それが終わってお別れの会をしているとき、メンターの方に「アイデアの創出についてめっちゃ考えているんです」って言ったんです。そしたらその方が「コウヘイ、アイデアそのものに価値はないんだよ」と。「説明してください」と言ったら、「いつかわかるから」と言われて別れて、ずっとモヤモヤしてた。
でもこの本を読んで、どう手を動かすか、どう実行していくかが大事なんだと気づいて、昨日も、雨の中原宿に出て、女子高生にインタビューしてました。
- まさに「Just Do It」。
- うまいこといいますね(笑)
- 私は逆かな。いま「アイデアそのものに価値がない」っていう話を聞いたとき、本のなかにある「私は走ることを信じていた」っていうフレーズが浮かんできた。
- アイデアの前に信念があると。
- そう。「私の信念を理解してくれた人たちが、この思いを共有したいと思ったのだ」と本にあるように、信念があって、その信念を実現したいという仲間たちが集まって、初めて彼は成功している。早いうちに信念を固めるほど、そのあとの行動も違ってくる。人生でいちばん大事なのは信念。私はずっとそう思っていたけれど、この本を読んで、それが確信に変わった。
- フィルさんは明確な信念があるけれど、多くの人はそこまで強い信念を持てないので、なかなかJust Do Itというわけにはいかないのかな、と思っています。Just Do Itの本質は信念。では、どうやって信念を持つか、というところで、フィルさんは自分の好きなことをしている。社会的に意義があることを考えるとか、そういうアプローチじゃなく、まず自分の好きなこと、したいことは何なのかを深く突き詰めて実現しているところが面白い。
- 僕が思わずにやっとしたのは、会計士をしていたフィルさんが、靴のビジネスに集中するために会計事務所を辞めて、大学の先生になるあたり。僕も、ずっと同じモヤモヤを抱えていて、好きなことに集中するために、実は会社を移ることにしました。
- ハヤシさん、これからどんなことをするんですか。
- 日本では、コワーキングスペースとか、起業家が働く「場(ハード)」は提供されているんだけど、新しいものを生み出す「ソフト」がないから、そのソフトを提供しようというプロジェクト。
- それは会社組織で?
- 会社組織だね。そこに、創業メンバーとして入った。
- すごい。本当に起業家だ。
- ただ、僕は自分がやることで勝ち負けをつけるというか、負ける人を生み出したくない。そこがフィルさんと違う。
- どういうこと?
- 僕は物事を勝負というようには捉えていない。「これを絶対に成功させる」という意味での勝負だ、ということは理解しているんだけど、それを勝ち負けという言葉では呼ばないかな、と。
- なるほど。70億人を幸せにしたいという大きな信念があるから。競争に打ち勝って相手を蹴落とす、ということではないと。
- そう。
- ツツミさんはどう?
- 現実的な選択肢が見えて、気分が楽になったことでしょうか。私は、何かしたいと思ったときには、ほかのことは全部犠牲にして、とオールオアナッシングで考えがちだったのですが、フィルさんは、靴のビジネスをしながら会計士をしたり、会計士になるために大学に関連の講義をとりにいったりしている。それがすごくリアルでした。
学生にとって、起業はすごくハードルが高いのですが、だからといって、すべてを捨てて臨む必要はないという示唆もあるかなと。